「お茶はね、まず『形』なのよ。始めに『形』を作っておいて、後から『心』が入るものなのよ。」
樹木希林が演じる「武田先生」のセリフです。
なんだか、全ての事柄に通じるような、迷いや悩みがすーっと消えるような言葉ですね。
この映画を見て、「茶道を始めてみたくなりました。」という方が何人かいましたが、実際に見てみて、確かにそのとおりだなと思いました。
なぜなら、茶道の素晴らしさが分かるような映画になっているからです!
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1.基本情報
タイトル | 日日是好日 |
公開 | 2018年 |
上映時間 | 100分 |
出演者 | 黒木華 樹木希林 多部未華子 他 |
監督 | 大森立嗣 |
原作は、森下典子著の「日日是好日-「お茶」が教えてくれた15の幸せ」です。
こちらの本も読みましたが、この本の内容がほぼ忠実に映画で描かれています。
※原作はこちら
2.概要・あらすじ
お茶のお稽古を通じて、人生で立ち合う様々な岐路に対する「日々是好日」や「一期一会」といった意味合いを主人公が見つけていきます。
あらすじはこちら
大学生の典子(黒木華)は、突然母親から茶道を勧められる。戸惑いながらも従姉・美智子(多部未華子)とともに、タダモノではないという噂の茶道の先生・武田のおばさん(樹木希林)の指導を受けることになる。
大学を卒業しても、いまだに就職もせずに30代に突入した典子は、大学を卒業して茶道をやめ、すぐに就職をし、お見合いをするために退職し、婚約をして子どもも生まれた美智子との間に遠い距離を感じていた。
そんな中、10年間辞めずに続けてきた茶道でさまざまな後輩との出会いを通して大切なことをたくさん学んだ典子はやっと出版社に面接をしに行くことになった。だがそれもダメで、ずっと付き合っていた彼氏とも別れても落ち込んでいた中、父親の死を知り、武田のおばさんと泣いた。
それから典子は立ち直りもう一度全てやり直そうと決意する。(出典:Wikipediaより)
※予告編はこちら
3.感想
①映像美
とにかく映像が美しいです。
冒頭のタイトルや出演者が流れる部分の背景が、川の水が流れる様なのですが、透き通っていて綺麗で穏やかな川の流れなのです。
また、樹木希林が静かな茶室でお茶を点てている姿や、茶室から見える四季折々の庭の模様、茶道具、抹茶(濃茶も薄茶も)、梅雨の雨模様、夏の豪雨の様子、すべてとても美しい映像で描かれています。
特に和菓子!
色んな種類の和菓子が登場します。
蓋を開けた瞬間に主人公の黒木華が「わっ、きれい!」と言いますが、本当にきれいな和菓子が映っています。
茶道では、二十四節気※として、1年を細かく分けて各季節の微妙な変化を、繊細に感じ取ろうとします。
この映画では、その繊細な季節の移ろい模様が美しい映像で表現されているので、その美しさに心奪われ、「茶道ってなんか素敵なもんやな」と感じた方が多くいたのかな、と思いました。
※立春、立夏、立秋、立冬など、各季節の自然の特徴が示された語。1年を24の季節で区分しています。映画でも「立冬」などの表現が出てきます。
②音
「お湯はとろとろ、水はきらきらって音がする!」と主人公が感じるシーンがあります。
原作の本でも書かれていましたが、この部分は映画だからこそできる表現ですね。
お湯、水をそれぞれお茶碗に注ぐシーンで、音の違いが見事に表現されていました。
この繊細さに感動し、茶道への憧れを強くした方も多いはず。
これは、お稽古の時にもよく感じるのですが、このお湯の「とろとろ」という音は、なんだか落ち着くだけでなく、「あ、おいしいお茶が点ちそうだな」と思えるのです!
また、雨のシーンで樹木希林が「あら、梅雨の雨音だわね。」と言います。
僕は正直、雨の聞き分けはできませんし分かりませんが、二十四節気として季節を細かく分けて感じ取ってきた、日本文化および日本人の感性が表現されている良いシーンだなと思いました。
映画じゃないと感じ取れないシーンですね。
③掛軸
武田先生が、主人公のその時その時の状況に合わせて、掛軸を用意します。
○「薫風自南来」(くんぷうみなみよりきたる)
・・・新緑の季節に、主人公たちが風のように初めて稽古を習いにやってきたことに合わせて
○「瀧」
・・・夏至の暑い日に、字から滝を連想して少しでも涼しさを感じ取れるように
(字を見て滝を思い浮かべるなんて、茶道って究極のバーチャルリアリティですよね。)
○「だるまの絵」
・・・主人公の就職試験前に、だるまの「必勝」の意を込めて
などなど。
色んな意味や表現を持った掛軸に対し主人公の心情が揺れ動くシーンは、掛軸の面白さや奥深さが伝わってきて、茶道の素晴らしさが分かるポイントではないでしょうか。
こういった人生の岐路を経て、雨の日なら雨を、夏はその暑さを、冬は身の切れるような寒さを、五感を使って全身でその瞬間を味わうことこそが大事なんだと主人公は気づきます。
映画全体のテーマである「日日是好日」の意味を理解するんですね。
また、茶事のお稽古の際に、先生が一期一会の意味を解説します。
たとえ、何度同じ亭主と客が集まって茶事を開いたとしても、その日と同じようには二度とならないんですよ。
一生に一度限りだと思って、おやりください。
その瞬間を大切にするという「日日是好日」につながる心得ですね。
つい惰性で過ごしてしまう者にとって、とても心に響く言葉です。
④その他
この映画の「武田先生」は表千家なので、僕がやっている裏千家とは少し作法が違うのも面白いポイントでした。
帛紗を「ポンっ!」ってやる「ちりうち」※なるものはやったことがないなぁ、茶室に入る時は左足からなんや!(裏千家は右足から)、などなど。
※裏千家でもめったにやらないが、実はこの作法はあるらしい。稽古がかなり進んだ時に習うんでしょうな。
4.こんな方におすすめ!
この映画はこんな方におすすめです!
○茶道に興味がある方
○日本文化に興味がある方
○美しい映像を見たい方
○穏やかな気分になりたい方
上記に該当しない方も充分楽しめますよ!
以上、感想でした~
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