映画の話。
最近、AmazonPrimeで中国映画や中国ドラマが結構配信されています。
これまで、韓国ドラマはとても人気があってハマる人続出な感じでした。
僕もいくつか見ましたが、確かに面白いものは面白いですね。
ただ、日本のドラマと違って話数が多く、だいたい18話とか平気であり、最後の方は見るのも疲れてくる場合があります。
特に、最後の方は主人公たちの回想シーンが多くなり、なかなか話が進まなくなったりすることもあり。。。
なので、中国ドラマは一体どんな感じなのだろうか、と興味津々な今日この頃です。
で、ちらっと話数を確認すると、韓国ドラマに負けじとめちゃくちゃ多い…
どのドラマも平気でだいたい50話くらいある感じです。
去年の今頃は、いまさら『チャングムの誓い』にどハマリして、あれも50話くらいあったのですが1週間くらいでイッキ見しました。
チャングムはめっちゃ面白かったので、途中でダレることなく最後まで見れたのですが、中国ドラマは果たして同じように見れるだろうか…
つまらんかったらどうしようと思い、なかなか見始めることができません。
でも、映画なら・・・
1本で完結するし、かかっても拘束時間は120分なので、見始める際のハードルがドラマに比べたらかなり低い気がしています。
というわけで、概要説明頼りで面白そうな中国映画をAmazonPrimeで探してみました。
結果、目に止まったのがこちら。
チャン・イーモウ監督
の
『活きる』
です。
というわけで、基本情報から紹介しようと思います。
1.基本情報
タイトル | 活きる ※原題:活着 |
公開 | 1994年 |
監督 | チャン・イーモウ |
出演者 | 葛優(グォ・ヨウ) 鞏俐(コン・リー)等 |
制作国 | 中国 |
1993年に余華(ユイ・ホア)が発表した同名小説を原作とした映画とのこと。
第二次世界大戦から国共内戦期、そして文化大革命の激動の時代を描いてるらしい。
僕、この時代は元々めちゃくちゃ興味があるんですよね。
始まりはもう少し昔の清朝末期から文化大革命、鄧小平の改革開放政策らへんまでの、中国の激動ぶりがもうすごすぎて…
このへんのお話は、教科書的なマクロの目で見てしまうと、「へー、そうなんだ」で終わってしまうので、是非ともこの時代を生きた人の物語を見たり読んだりするべき。
(まぁ、どの時代にも同じこと言えますね)
僕のおすすめはこの本。
『ワイルドスワン』
ジャンル問わず今までで1番良かった本は何?と問われてもこの本を必ず挙げます。
1人の人間(毛沢東)に民衆が振り回され、国中がいかに大混乱に陥っていったかがよーくわかります。
人生で一度は読むべきと思う、それくらい好きな本です。
著者ユン・チアンさんのお祖母さんの時代(清朝末期)から3代に渡る激動期の中国での実体験が綴られています。
特に、共産党員でリーダー的な存在で、公私混同せず活動してきた実直なお父さんが、文化大革命で走資派として自己批判させられるくだりは、読んでいてほんと腸が煮えくり返る感じです。
この頃、「あの人嫌い」となると、何かしらこじつけ※で走資派としてでっちあげて、群衆で寄ってたかって叩く、というのが横行していたらしい。
※毛沢東の写真が載ってる新聞の上に物を置いてたというだけで、毛沢東を侮辱している=反革命派だ、と断定する等
こういう状況だと、回りの人全てから一挙手一投足を監視されてるようで、自由な事が言えない、やれないというものすごい閉塞感が漂っていたんだろうなぁと思えてきます。
話が逸れました。
というわけで、この時代を描いた映画となるとどうしても政府批判の観点が入らざるを得ない気がするので、無事に上映できたのだろうか?などと思いながら見てみました。
(Wikipediaで調べてみると、やはり中国本土では政策批判の烙印を押され、上映禁止にされたそう。やっぱな~~)
2.概要・あらすじ
あらすじとしてはこんな感じ。
■第二次世界大戦~国共内戦期
金持ち一家のどら息子である主人公福貴(フークイ)※グォ・ヨウは、賭け事に明け暮れる毎日を過ごしています。
しかも負けてばっか。
自分の家の屋敷を担保にツケ払いを繰り返すものの、とうとう限界に達し、屋敷を売り払う羽目に。
福貴はいきなり家を出されて貧乏生活をすることに。
福貴は潔く全てを受け入れ、それこそ底辺の仕事をしていきます。
商売をするため店を建てようとしますが、お金がないので、屋敷を乗っ取った主である龍二(ロンアル)にお金の工面をお願いに行きます。
が、渋られた挙げ句、影絵芝居道具を渡されます。
半ば侮辱気味に。
福貴はこれを受け入れ、影絵芝居職人として働くことになります。
が、影絵芝居職人として働いてる最中、国民党軍が急襲してきて、連れさらわれます。
国民党軍の基地でも紙芝居で盛り上げます。
そんな中、時代は共産党優勢になり。。。
福貴が属する国民党軍の部隊はある時夜逃げして、福貴は置いてきぼりになり、そこへ共産党軍が襲ってきますが、なんとか命拾いします。
これで久しぶりに家へ帰る福貴。が、帰ってみると娘の鳳霞(フォンシア)が、病気のために言葉を発せなくなっていました。
時代は共産党配下の共産主義一色の時代。
福貴の屋敷を乗っ取った龍二が反動地主として人民裁判にかけられ、銃殺されてしまいます。
(富豪のままだったら、福貴が殺されてた可能性が。。。)
■大躍進時代
大躍進ってこんな政策。
鉄鋼生産増強のため、各家庭から鉄製のものが没収されていきます。
食事も大衆食堂で無料で振る舞われることに。
鉄製のもの没収の際、影絵芝居道具を入れていた箱は残しておく福貴。
集めた鉄くずで作った鉄の塊を掲げ、「これで弾丸を作り、台湾の蒋介石の家にぶち込むぞ!」みたいなことを言って意気込む、共産主義にどっぷり染まった町長。
そんな中、新任の区長が運転する車が小学校の壁を崩し、壁のそばで寝ていた福貴の息子の有慶(ヨウチン)が下敷きとなり、死んでしまいます。
■文化大革命時代
福貴の子供は娘の鳳霞一人に。
この鳳霞に縁談の話が来ます。
相手は工場長を務める二喜(アルシー)。
結婚が決まり、やがて鳳霞は妊娠します。
ここでも「優秀な労働者がまた増えるぞ!」みたいなことを言って喜ぶ、共産主義にどっぷり染まった町長。
が、そんな町長も文化大革命の時代の流れには逆らえず。。。
走資派と見なされ、自己批判大会へつるし上げさせられることになります。
あんなに共産党の活動に邁進してきたのに。。。
鳳霞は出産にあたり入院しますが、その病院を仕切っているのは若い高飛車な女学生ばかり。
ここにも文化大革命の影響が吹き荒れており、医者である王先生は、知識人としてやはりこちらも走資派と見なされ、病院から追い出されてしまっていました。
そんな中、無事に息子を出産する鳳霞。に見えましたが、出血が止まりません。。。
先ほどの高飛車な女学生たちは何もなす術なく、命を落とす鳳霞。
時は流れ、福貴夫婦は二喜とその息子(饅頭(マントウ))とともに有慶と鳳霞の墓参りに。
饅頭(マントウ)はひよこをペットとして飼うことにします。
その飼育場所として、かつての福貴の商売道具であった影絵芝居道具を保管していた箱を差し出す福貴。
「大きくなったら牛に乗る」というマントウ。
それに対し、
「いや、マントウが乗るのは汽車や飛行機だ。その頃は、今よりいい世の中だ。」
という福貴。
~これにて劇終~
3.感想
激動の時代ですねやっぱり。。。
面白い映画であることは間違いないのですが、なんというか、今の時代がなんと恵まれているかとありがたく思える内容です。
主人公はいくつもの悲劇に見舞われますが、それでも生への渇望を失わず、必死に生きていきます。
改めて見ても、文化大革命の矛盾は悲惨ですね。。。
知識人を虐げた挙句、国力が損なわれてしまう。
矛盾に満ちた閉塞感漂う時代に、それでもあきらめることなく生き抜く姿に心打たれる映画です。
最後の言葉「その頃は、今よりいい世の中だ。」
これがなんとじわ~っとくることか!!!
チャン・イーモウ監督の映画は初めて見ました。
演者さんも素晴らしく、見応えある作品に仕上がっています。
初めて見たと思ったのですが、調べてみたら見たことあるものがありました!!
こちら。
こちらはキャストがすごすぎる。
ジェット・リー、ドニー・イェン、トニー・レオン、マギー・チャン、チャン・ツィイー。。。
始皇帝暗殺がテーマの映画ですが、メッセージ性はより深いとこにあり。。。
最初、映画館で見た時はただただ映像美に圧倒されてました。
回想シーンが多く、そのたびにキャストの衣装の色が変わるのですが、そこにもメッセージ性が込められています。
とても深みのある映画です。
こちらもぜひご覧あれ!!
というわけで、中国映画「活きる」の感想でした~~
AmazonPrimeで他の中国映画も見てみようと思います。