「一杯330円のコーヒーのうち、コーヒー農家が手にする金額は3~9円」ってほんと?
原価率すごいな、ボロ儲けやなと思い、このキャッチコピーが気になったので「おいしいコーヒーの真実」という映画を見てみました。
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1.基本情報
英題 | Black Gold |
公開 | 2006年 |
上映時間 | 78分 |
出演者 | ダデッセ・メスケラ (エチオピアでコーヒー生産者組合を組織して奮闘する活動家) |
制作国 | イギリス、アメリカ |
コーヒーを焦点に、主にエチオピアを舞台にして、貿易不均衡の実態をドキュメンタリー形式で描いています。
2.概要
全世界で1日20億杯飲まれるコーヒーは、石油に次ぐ取引規模を誇る国際商品であるが、その莫大な市場規模に対してコーヒー農家に支払われる対価は低い状況が続いている。
そんな中で1990年から2000年にかけて発生した国際市場相場の暴落は生産者の生活を崩壊させ、麻薬植物の栽培へ転向する生産者が出るような状況に陥っている。
アフリカ・エチオピアでそうした状況を打破しようと生産者組合を組織して奮闘する活動家タデッセ・メスケラに密着し、コーヒー農家の過酷な生活実態と、取引相手となる先進国大企業の不公平な取引事情を描く。(出典:Wikipediaより)
※予告編はこちら
3.感想
①リスク分散ができることのありがたさ
まず最初に思ったのは、コーヒー豆に頼らざるを得ないモノカルチャー経済はとても苦しいということ。
市場価格の影響をもろに受けるため、市場価格が下がれば、安くコーヒー豆を売らざるを得ず、それが貧困や飢えを招いています。
一方、金持ち国家は農家に多額の補助金が出せて、大規模、効率化した運営が可能なために、価格競争に持ち込むし、貿易自由化を強引に推し進めてきます。
モノカルチャー経済の場合は、不利な戦いしかできません。
普段の生活に置き換えて考えてみたのですが、1つではなく、複数の選択肢を持っているということは、それだけリスクを回避できる可能性が高くなります。
投資なんてよく分散投資が良いとか言われてますが、この映画を見て1つのものに頼ることの危うさをとくに感じました。
ただし、悲しいのが、この映画でも語られているとおり、教育が行き届いてなくて他の職業を選べない、また州から与えられた土地だからコーヒー豆栽培に従事するほかないという現状。
今の自分が何でも選択可能であることのありがたさを痛感しました。
②教育投資への思い
タデッセさんの奮闘の結果、例年より出た利益をどうするか話し合うシーンがあります。
皆が、「学校建設に投資しよう」という意見で一致します。
教育こそがこの現状を抜け出す道なのだとみなさん理解しているところに、ただただすごいなと思いました。みんな自分の子供には苦労させたくないという思いで必死なんだなと。
それに比べて自分の環境ですが、日本はモノ余りで食べるには困らず、勉強するにも困らない贅沢な環境と言えます。
(食べ残しのごみなんて街中にたくさん出てるし、図書館に行けば無料で大量の本を読めるし。。。)
この環境に、改めてありがたいことだなという認識をするとともに、現状に満足していてはいけないな、精進していかないとな、と思えました。
※とはいえ、こういう一見不都合のなさそうな日本でも、種類や程度の差こそあれ、悩みを抱えている人が多いですよね。人間関係がうまくいかない、給料が上がらない、何をやってもうまくいかない等々。悩み先進国って感じがしますし、心が飢えと貧困で苦しんでいる気がします。
③「一杯330円のコーヒーのうち、コーヒー農家が手にする金額は3~9円」のワケ
要は、中間マージンがとてつもなく多いのです。
タデッセさん曰く、消費者に届くまでに6度の仲介が入るとのこと。
○バイヤー、輸出業業者
→生産者から購入したコーヒーを倉庫で加工する。
その後、海外のバイヤーへ売る。
○海外のバイヤー
→焙煎業者へ卸す。
○焙煎業者
→コーヒーを焙煎し、小売店、カフェへ売る。
○小売店カフェ
→ようやく消費者へ。
供給業などの中間業者を省きたく、生産者が直接焙煎業者へ売れるようにしたいとのこと。
これだけ仲介があればその間にどんどん価格が吊り上がってしまいますね。。。
④映像で見ることの良さ
昔地理を勉強していた時に、モノカルチャー経済や、プランテーション農法は、文字では見ていましたが、映像で見るのは初めてであり、実状がとてもよく分かりました。
百聞は一見にしかずとはこのことでしょうか。
「モノカルチャー経済」って9文字だけでは伝わらない、大変なドラマをよく理解できます。
実際はとても苦労が多く、大量の人が関わっており、貧困の温床となっているのですね。
(コーヒー豆の選別を、工場内で大量の女性社員が1日8時間かけて、ひとつひとつ手作業で行っているシーンがあります。これで日給0.5ドルとのこと。。。)
この映画、だからどうしてくれとか、こうすべきというAnswerは提供していません。
実状を見て、どう感じ、何か行動につなげるのかは我々に委ねられています。
本で読むより映像で見た方がインパクトがあり、感じられるものが多いと思いました。
要点を絞ればもっと短縮できるかもですが、コーヒー豆農家の方々の映像を脳に焼き付けるという意味では、これくらいの尺が良いのでしょう。
映像で見てこその良さがあると感じました。
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4.エチオピアの現状
映画の途中で、エチオピアのコーヒー農家の方が、「コーヒーの木を切り倒して、チャットの葉を育てるんだ。その方が金になるから。」と言っていました。
チャットの葉は麻薬の一種とのこと。
村人が「葉を噛めば幸せになれる。」というシーンがありました。
・コーヒー豆1キロ=2ブル(コーヒー80杯分) ※1ブル=0.12ドル
・チャットの葉20本=30ブル ※年に2度収穫できる
とのこと。
これでは、チャットの葉に切り替える人が多くなるのも頷けます。
このシーンを見てエチオピアの将来が不安になりましたが、経済産業省のHPを調べると、エチオピアは2016年まで、10年近く毎年10%前後の実質GDP成長率を続けているようです。
2005年の一人当たり名目GDPが165ドル、2018年は852ドルまで上昇しています。
第5節 アフリカ:通商白書2017年版(METI/経済産業省)
ちょうどこの映画を撮っている時が2005年なので、この時のコーヒー農家さん方の教育への投資が実ってきたのでしょうか。
とてもすごいことですね。
15年後の今を伝える第2弾の映画も見てみたいですね。
5.こんな方におすすめ!
この映画はこんな方におすすめです!
○コーヒーが好きな方
○世界各国の貧富の差の理由について知りたい方
○地理・歴史を勉強中の学生の方
○貿易関連の仕事に従事している方
上記に該当しない方も充分楽しめますよ!
以上、感想でした~